千里高校 観劇レポート

全体としてめりはりが効いたお芝居で、とても楽しませていただきました。笑わせる場面ではしっかりと面白く、切ない場面ではきっちり登場人物の思いを表現されていたと思います。個人の役の作り込みをしっかりなさっているからだと思うのですが、誰か一人新しく登場する度に舞台の温度、空気感ががらりと変わって、惹き付けられました。とても力のある役作りをされているなあと思います。声量、動きのキレが良く、とても勉強になりました。

そして、カンパネルラとジョバンニが最後に会話するシーンがとても好きです。表情の演技が繊細で、二人のそれぞれの葛藤、お互いへの感情が伝わってきました。いつも自己犠牲を選ぶやさしくて正しいカムパネルラが、ザネリを庇って死んでしまった後に見せた迷い、哀しむ表情と「僕たちはどこにだって行ける」と言った時の晴れやかさを感じさせる表情が、深く印象に残っています。

また、大道具のクオリティがとても高いと感じました。暗転後、次の場面で学校の黒板を裏返すと駅の壁になっていたところは驚きました。ウイングのスペースでもこれだけの大道具をつかい、多彩な表現ができるということに気付かされました。歌、ダンスの挿入や照明・音響の入り方など、演出も斬新で目から鱗でした。ジョバンニが銀河へと旅立つ列車に手を伸ばす場面は、強い光と影のコントラストが印象的で、ハッとさせられる一場面でした。返事の仕方で生徒の個性がわかったり、動きがなくなりがちな場面で顧問の先生が後ろでパントマイムをされている(すごく面白かったです)など、細かいところまで工夫を感じました。

鑑賞後も、さわやかな感覚と、しみじみと考えさせられる気持が混ざりあい、充実したお芝居を見せて頂いたな、と思いました。ありがとうございました。